ハルシネーションとは

この記事の結論

  • ハルシネーションとは、生成AIが事実に基づかない情報を、もっともらしい文章で出力してしまう現象のことです。
  • この記事では「言葉の元の意味」「起きる原因」「起きやすい場面」「使う側・作る側それぞれの対策」を扱います。
  • 最終更新 2026-09-11。

はるしねーしょん/Hallucination

AIが事実に基づかない情報を、もっともらしい形で生成してしまう現象です。

最終更新: 2026-09-11

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ハルシネーションとは何か(意味と読み方)

ハルシネーションとは、生成AIが事実に基づかない情報を、もっともらしい文章で出力してしまう現象のことです。読み方は「はるしねーしょん」、英語では hallucination と書きます。

簡単に言うと、AIが自信たっぷりに作り話をしてしまう状態です。厄介なのは、内容が間違っていても文章としては自然で、書きぶりに迷いが見えないことです。読む側からは、正しい答えと見分けがつきません。

誤解しやすいのは、AIが意図的に嘘をついているわけではない、という点です。AIには「本当のことを言おう」という意思も、「今のは自信がない」という感覚もありません。学習したパターンから、形として自然な続きを組み立てているだけです。

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「ハルシネーション」の元の意味は何か

英語の hallucination は、もともと医学や心理学で使われる「幻覚」を指す言葉です。実在しないものを、本人にとっては実在するかのように知覚してしまう状態を表します。日本語でもそのまま「幻覚」と訳されることがあります。

AIの分野では、存在しない事実をあたかも実在するかのように出力する様子がこれに似ていることから、比喩として使われるようになりました。自然言語生成の研究分野では以前から整理が進んでおり、Survey of Hallucination in Natural Language Generation(arXiv:2202.03629)が、どのような種類のハルシネーションがあるかを分類してまとめています。

なお、この比喩の使い方には「AIを擬人化しすぎる」という批判もあり、「作話」「捏造」といった別の呼び方が使われることもあります。呼び方は違っても、指している現象は同じです。

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なぜハルシネーションが起きるのか(仕組み)

大規模言語モデルは、事実の一覧を引いて答えているのではありません。膨大な文章から学んだパターンをもとに、次に来る可能性が高い言葉を1つずつつないで文章を組み立てています。

この仕組みでは、学習した学習データに載っていないことを聞かれても、「載っていません」と気づく手段がありません。形として自然な続きが組み上がるので、そのまま出力されます。あいまいな質問、極端に新しい話題、細かい数値や固有名詞が絡む質問で起きやすいのはこのためです。

また、答えの組み立ては確率的に行われます。温度(Temperature)のような設定で表現の振れ幅を変えられますが、振れ幅を小さくしても事実誤りがなくなるわけではありません。あくまで表現が安定するだけです。

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どんな場面で起きやすいのか

経験的に、次のような場面はとくに注意が必要です。

ハルシネーションが起きやすい場面
場面よくある出方確認のしかた
統計や数値を聞くそれらしい数字と年度が示される官公庁など一次情報の原典に当たる
法令・規約を聞く条文番号や文言が実在のものとずれる法令データベースや原文で照合する
出典を求める実在しない書名・論文名・URLが挙がるURLを開き、書誌情報を検索して実在を確かめる
人物や企業について聞く経歴や実績が別人のものと混ざる公式サイトなど本人発の情報で照合する
ごく最近の出来事を聞く学習時点より後の話が推測で埋められる情報の時点を明示して聞き直す
専門外の細部を聞く一般論としては自然だが実務では誤りその分野の担当者に確認する

コード生成でも同じことが起こります。実在しない関数名やオプションが、それらしい形で出てくるのが典型です。動かして確かめる工程を省かないでください。詳しくはAIが書いたコードのテストとレビュー:鵜呑みにしないための基本動作にまとめています。

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ハルシネーションへの対策

ゼロにする方法はありません。減らす工夫と、通ってしまったときに気づく工夫の両方を用意します。

使う側・作る側それぞれの対策
立場やることねらい
使う側根拠となる資料を渡し「この範囲だけで答えて」と指示する推測で埋める余地を減らす
使う側出典の提示を求め、示されたURLを実際に開く実在しない情報に気づく
使う側重要な数値・固有名詞は一次情報で照合するそのまま使ってしまう事故を防ぐ
作る側RAGで社内文書を参照させる根拠のある範囲で答えさせる
作る側ガードレールで出力を検査する明らかな逸脱を止める
作る側評価(Evals)で誤りの発生率を継続的に測る品質の劣化に気づける状態にする

医療・法律・税務・金融のように誤りが実害につながる分野では、人が確認する工程を必ず残してください。組織として使う際の考え方は総務省 令和5年版情報通信白書「生成AIを巡る動向」や内閣府 AI戦略(科学技術・イノベーション)が参考になります。日常の使い方に落とした注意点は生成AIリテラシー:安全に使うための基礎知識で説明しています。

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関連用語

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よくある質問

Q1. ハルシネーションとは何ですか?
生成AIが事実に基づかない情報を、もっともらしい文章で出力してしまう現象です。読み方は「はるしねーしょん」。意図的に嘘をついているわけではなく、学習したパターンから「ありそうな続き」を組み立てた結果として起きます。

Q2. ハルシネーションの元の意味は何ですか?
英語の hallucination は、医学や心理学ではもともと「幻覚」を指す言葉でした。実在しないものを、本人にとっては実在するかのように知覚する状態を指します。存在しない事実をあたかも実在するかのように出力する様子がこれと似ているため、AIの分野でも比喩として使われるようになりました。

Q3. なぜハルシネーションが起きるのですか?
大規模言語モデルは、事実の一覧を引くのではなく、次に来る可能性が高い言葉を順につないで文章を作っています。この仕組みでは、学習したデータに載っていないことや、あいまいな質問に対しても、形として自然な答えが組み上がってしまいます。「わからない」と答えるより、それらしい続きを出すほうが起きやすいのはこのためです。

Q4. どうすれば減らせますか?
根拠となる資料をこちらから渡して「この範囲だけで答えて」と指示する、出典の提示を求める、答えを一次情報で照合する、といった方法があります。仕組みとしては、検索で見つけた文書を参照させるRAGや、出力を検査する仕組みを組み合わせます。ゼロにはできない前提で、人が確認する工程を残すことが前提になります。

Q5. 特に気をつけるべき場面はどこですか?
医療・法律・税務・金融のように、誤りが実害につながる分野です。また、統計の数値、法令の条文、URL、書籍や論文の書誌情報、人物の経歴は、もっともらしい形で作られやすい代表例です。これらは必ず一次情報で確かめてください。