コンテキストキャッシュとは
この記事の結論
- コンテキストキャッシュとは、繰り返し送る入力のうち、毎回同じ先頭部分の処理結果を保存して再利用し、料金と待ち時間を減らす仕組みのことです。
- 効くのは先頭から完全に一致している部分だけです。変わらない指示や資料を前に、毎回変わる質問を後ろに置くのが基本です。
- 主要なAPIでは、キャッシュから読んだ入力は通常の入力単価の0.1倍などに割り引かれます。ただし既定の保持時間は5分から30分ほどと短めです。
こんてきすときゃっしゅ/Context Caching
毎回同じ先頭部分を持つ入力の処理結果を保存して再利用し、入力の料金と待ち時間を減らす仕組みです。
最終更新: 2026-09-26
コンテキストキャッシュとは(意味と読み方)
コンテキストキャッシュとは、繰り返し送る入力のうち、毎回同じ先頭部分の処理結果を保存して再利用し、料金と待ち時間を減らす仕組みのことです。読み方は「こんてきすときゃっしゅ」です。Google の API ではコンテキストキャッシュ、Anthropic 社と OpenAI 社の API ではプロンプトキャッシュと呼ばれていますが、考え方は共通です。
AIのAPIは、会話の履歴やシステムプロンプトを毎回まるごと受け取って処理します。長い前置きが毎回同じなら、その部分の処理をやり直すのは無駄です。そこで、一度処理した前置きの状態を少しの間とっておき、次のリクエストで同じ前置きが来たら、そこから先だけを処理します。
コンテキストキャッシュが効く条件と各社の仕様
キャッシュが使われる条件は先頭からの完全一致です。OpenAI 社のドキュメントは、先頭部分の完全一致で過去の処理状態を再利用すると説明しています。Anthropic 社のドキュメントでは、ツールの定義 → システムプロンプト → メッセージの順に先頭が並び、途中を変えると、その位置より後ろのキャッシュがすべて無効になるとされています。
各社の公式ドキュメントから、2026年9月時点の主な数字を拾うと次のとおりです。
| 項目 | Anthropic 社の API | OpenAI 社の API |
|---|---|---|
| 有効化 | cache_control で指定 | 対応モデルで既定で有効 |
| 最小の長さ | モデルにより512〜4,096トークン | 新しいモデルで1,024トークン |
| 保持時間 | 既定5分。1時間も選べる | 新しいモデルで最後の利用から30分 |
| 読み出しの単価 | 通常入力の0.1倍(標準的なモデル) | 通常入力の0.1倍 |
| 書き込みの単価 | 5分保持で1.25倍、1時間保持で2倍 | 新しいモデルで1.25倍(以前のモデルは割り増しなし) |
Google の API でも、新しいモデルでは暗黙的なキャッシュが既定で有効になっていて、キャッシュに当たった場合は自動で割引が適用されると書かれています。数字は変わりうるので、使う前に各社の最新のページで確かめてください。
コンテキストキャッシュの具体例:並べ方で結果が変わる
社内規程に答えるチャットボットを作る場面で考えます。規程の本文を2万トークン分、毎回システムプロンプトに入れるとします。
- 効かない並べ方:先頭に
現在時刻: 10:42を入れ、その後に規程本文。先頭が毎回変わるため、キャッシュが一度も当たりません。 - 効く並べ方:規程本文 → 回答のルール → 最後に利用者の質問と時刻。規程本文までが毎回同じなので、2回目以降はその部分がキャッシュから読まれます。
効いたかどうかは、応答に含まれる使用量の欄で確かめます。Anthropic 社の API なら cache_read_input_tokens、OpenAI 社の API なら cached_tokens です。最小の長さに届かない場合、エラーは出ずに黙ってキャッシュされないので、この欄を見るのが確実です。
AIコーディングエージェントでも内部でこの仕組みが使われています。Claude Code の公式ドキュメントは、キャッシュの保持時間より長く休んだあとの最初のメッセージはキャッシュに当たらず、全文脈を処理し直すと説明しています。休憩明けに消費が跳ねるのはこのためです。
コンテキストキャッシュのよくある誤解
- 誤解:キャッシュすれば、コンテキストウィンドウも節約できる
実際:変わるのは料金と処理時間だけです。キャッシュされた部分もコンテキストウィンドウには数えられます。 - 誤解:前回の答えが保存されて、同じ答えが返ってくる
実際:保存されるのは入力の先頭部分を処理した状態です。回答は毎回新しく生成されます。 - 誤解:少しの違いなら当たる
実際:先頭の1文字が変わっても、そこから後ろは当たりません。日付やリクエストIDを先頭に入れないことが大切です。
関連用語
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出典・参考資料
- プロンプトキャッシュの仕様(API 公式ドキュメント):tools → system → messages の順、最小の長さ、5分と1時間の保持、書き込み1.25倍・2倍と読み出し0.1倍、無効になる変更
- プロンプトキャッシュの仕組み(API 公式ドキュメント):先頭の完全一致、1,024トークンの最小長、30分の保持、書き込みの単価、cached_tokens
- コンテキストキャッシュ(Google AI for Developers):暗黙的キャッシュが既定で有効、最小トークン数、共通部分を先頭に置く考え方
- 長いセッションで消費が増える理由(AIコーディングエージェント公式ドキュメント):休憩明けのキャッシュミスと保持時間
コンテキストキャッシュについてよくある質問
Q1. コンテキストキャッシュとは何ですか?
繰り返し送る入力のうち、毎回同じ先頭部分の処理結果を保存して再利用し、料金と待ち時間を減らす仕組みです。APIによってはプロンプトキャッシュとも呼ばれます。
Q2. どのくらい安くなりますか?
キャッシュから読んだ部分は、主要なAPIで通常の入力単価の0.1倍などに割り引かれます。ただしAPIによっては書き込むときに割り増しがあり、保持時間内に再利用されなければ得になりません。全体でどれだけ安くなるかは、同じ先頭部分を何回使い回せるかで決まります。
Q3. キャッシュが効いているかどうかはどうやって確かめますか?
応答に含まれる使用量の欄を見ます。キャッシュから読んだトークン数が0のままなら、先頭が毎回変わっているか、最小の長さに届いていないか、保持時間が切れている可能性があります。
Q4. 個人でAIコーディングエージェントを使うだけでも関係ありますか?
関係があります。エージェントは内部でキャッシュを使っていて、長い休憩のあとの最初の依頼はキャッシュに当たらず、会話全体を処理し直します。消費を抑えたいなら、無関係な作業の前に会話を区切って文脈を小さく保つのが有効です。